1年半、プロボクサーとして生きた今の気持ち。(メモを読み返しながら)
試合が終わって、数日経って、当直明けで引っ越し作業をしている。いつものように、顔の腫れは3日もたてば不思議なくらいに引いてしまっていて、あらためて人間の治癒力というものに驚かされる。
後楽園ホールに立って、歓声を浴びた日が、もう遠い昔のよう。いままでのどの試合よりも、演り切った。
...でも、負けた。悔いはある...悔いしかない。
でも、やってきたことに後悔はない。
こんなにやったのに負けるのか、という思い。
でも、これだけやったんだという思い。
今までしてきた、どの旅よりも苦しい旅だった。
なのに、試合の写真を見返すと、それでも愉しかったと言えちゃう不思議。
人は、「この経験は必ず人生の糧になるよ」と励ましてくれたけれど、別にボクシングにそんな利を求めてはなかった。ただ、そうしたかったからそうした。そう生きた。
後に、自分はこの経験をどう述懐するだろう。 今は、「誇ることは出来ないけど、酒の席の小噺にはなりますね」と、愛想笑いを浮かべてるけれど。 挫折はしたけど、後悔はない。 でも、未練はある。