1泊2日で黒部峡谷の欅平駅から阿曽原温泉小屋を経て、黒部ダムまで歩いた。
水平歩道、下ノ廊下と呼ばれる狭い岸壁をたどるルート。
1日目
宇奈月駅から黒部峡谷鉄道のトロッコ電車に乗る。
宇奈月ダム、出し平ダム、黒部川第二発電所などを左手に見ながら黒部川を上る。釣鐘山を突っ切り、黒部川は右手に。まもなく終点欅平駅に到着。
1時間15分の道のり。とても寒かった。
同乗客のほとんどは猿飛峡の方へ。自分含めた数人が阿曽原への山道に入る。
20分ほどの急坂を登り切ると水平歩道が始まる。
左手は崖だが、多少傾斜があって草木も生い茂っている。道幅も1m以上あるので、怖さはあまりない。ワイヤーに掴まらなくとも十分歩ける。
奥鐘山が左手に見える。一面の深緑色で紅葉はまだ微塵も。
歩いているときは何とも無いけれど、少し過ぎてふと振り返ってみると崖に木の歩道が括りつけてあるだけという、中々凄まじい道が続く。
道の真中に落石。
志合谷に着く。Vの字の内側を行くような形の道のため、行く先の歩道がよく見える。本当に水平だ。
志合谷の長いトンネル。真っ暗なのでライトは不可欠。前日前々日の大雨のせいか、トンネル内の地面は水浸しでぐちゃぐちゃだった。
まもなく大太鼓に来る。ここは今度はVの字の外側を行くような形の道。先端は大太鼓展望台となっていて「撮影ポイント」と書いてある。60cm程度の道幅、バックパックを背負って谷底に水平に向き直るのはかなり恐怖を感じる。
なんとかして撮った写真。奥鐘山の西壁が望める。
しだいに緑が増えてきて、また崖の傾斜も緩やかに。スムーズに進める。
折尾ノ大滝の下を行く。かなりの勢いで水が落ちてきていて、岩に当たり水しぶきを上げている。滝からの水を口に含み、顔を洗う。冷たくてとても心地よい。
水が綺麗だからか動植物も豊富なようだ。
タカネコンギク
ホウオウゴケ
阿曽原谷への傾斜はかなり長いはしごを使って下る。
まもなく阿曽原温泉小屋が見えた。橋を渡り、到着。
テントサイトは1泊¥700。温泉は入り放題で¥500。テントを張り終えて一眠り。
温泉は男女に時間ごと分かれている。テントサイトから少し川の方に下りると、こじんまりとした木の浴槽がある。12人ほどが湯に浸かって隙間もないほど。
眼前には峡谷の木々が広がる。紅葉していたら綺麗だろうなぁ…少しだけ時期が早かった。
自炊して飯食って、日暮れとともに眠った。
レインカバーに小さい虫が無数に付いている。ちょっと気持ち悪い。
欅平→阿曽原温泉
・時間:4時間30分
・水平距離:9km
・標高差 253m
・累積標高差 (+)512m (-)259m
2日目
朝4:15起床。テントを片付けコーヒーを一杯飲んで出発。
トロリーバスの時刻の関係もあって、なんとか午後1時までには黒部ダムに着きたい。
昨日下りてきた阿曽谷を上るところから今日の始まり。15分ほどのかなりの急坂。
さらに1時間半ほど歩くと、関西電力の人見寮が見えた。
野生のサル多数。20匹ほどはいた。
建物脇の登山者出入口から閂を外してトンネルに入る。
ここで真っ直ぐトンネルを進めば、「仙人谷ダム」の上を渡って川の向こうに越えられたのだが、間違って線路沿いに水路橋を進んでしまった。
『スタンド・バイ・ミー』気分で線路をズンズン歩く。
”第53回 NHK 紅白歌合戦 中島みゆきさん「地上の星」中継現場”
ああ、ここだったのか!
みゆきさん、トロッコ電車に乗ってきたのかぁ。まさか、水平歩道歩いて来たわけじゃあるまいし。
地下の黒部第四発電所に着いて、行き止まり。
インクラインというのがあって、これに乗れば黒部ダムにいけるらしい。(もちろん一般人は乗れない)
さて、迷路のようなトンネルの中を迷って楽しんだ後は、改めて今度はきちんと川を渡る。ダム湖はエメラルドグリーン色で美しい。
開けた道を川を右手に少し歩くと、東谷吊橋へ。
橋の上からちょうど、黒四の構造物の内地上に出た部分から送電線が伸びているのが見える。「関西電力」「黒四発電所」の文字がどこか誇らしげに映る。
S字峡を通過。
半月峡は急峻な崖沿いの道。ここは大太鼓に次いで怖かった。
岩場に咲く花がなんとも可憐。
十字峡を渡る。黒部川本流に剱沢と棒小屋沢が合流する場所。
(写真手前が剱沢、右から左に黒部川、隠れてしまっているけど奥から棒小屋沢)
黒部峡谷に入り、川沿いのほんのすぐ傍を歩く。
万年雪多数。
右手には黒部別山につながる岩崖。
新越ノ滝。
内蔵助谷出合を黒部方向へ。
ここら辺はもう4割くらいの紅葉。
峡谷の間からは不動岳や南沢岳、烏帽子岳などが見える。
雑木林の道に入ると、しばらくしてドーンと黒部ダムが目の前に現れた。
橋の前で一息ついていざ最後の上り坂。
黒部ダム駅到着!
黒部ダム
黒部湖
立山
阿曽原温泉→黒部ダム
・時間:6時間30分
・水平距離:16km
・標高差 563m
・累積標高差 (+)1548m (-)985m
まとめ
・標高差は無いが、岩場が多いので脚に負担はそこそこ掛かる。
・ヘッドライドは必須、ヘルメットも推奨。トレッキングポールは邪魔なだけ。
・写真みると崖沿いの死と隣り合わせの道ばかりのようだけれど、歩く視点ではそんなでもない。道幅あるし割とスイスイ歩ける。(高所恐怖症でなければ)
・でもヨロけたら確実に死ぬ道は多数
・大太鼓はホント怖い。