世の中は嘘で溢れている、と思う。
人間関係、ビジネス、広告、ニュース、政治、ギャンブル、風俗。アイドルだって。別にNetflixで「推しの子」をみて、ミーハーな感想を語ってる訳ではない。面白かったけど。
騙す技術は文明社会で生きる人間である以上、とても大切だ。
大なり小なり、嘘だらけの世界で生き抜く為には、自分も嘘で人を騙す理論武装しなければ、直ぐに野垂れ死ぬ。もちろん世の中が誰も人を騙さない聖人君子の社会だったなら、自分だって人を騙す必要などない。だが、現実はそうではない。
それは資本主義と共産主義の関係とよく似ている。万人が、「取るに足る」の知足ならば、共産主義の生産共有は上手くいく。だが、現実人間には欲がある。欲望だらけの世界で生き抜くためには、自分も欲さなければ、やはり直ぐに野垂れ死ぬ。
一方で、時に騙される技術も人間には大切だ。
騙されるというのは損をするという意味ではなく、正しくリスクを取るということ、誘いに乗るという事。広告を見て商品を買う時、私たちは騙されている。異性の甘い言葉に酔って気を許す時、私たちは騙されている。
絶対に騙されたくないならば、文明社会を出て、全ての人間関係を断ち、自給自足をすれば良い。人間社会に100%の純粋さ、真善美はないと、皆いつか悟る。
だけれどもそんな騙し騙されの社会は辛すぎる。と、時々少しばかり純粋な私は思う。
けれど、幸いにして人間には忘れるという能力がある。忘却は知性と共に神様が人間に与えて下さった恩寵である、と私は思う。
恥ずかしい過去は忘れてしまえばよい。
汚い自分は忘れられてしまえばよい。
