何か壁にぶつかって、個としての自分を鑑みる時、自尊心やプライドの問題に行き当たる。
最近もそのことを考えていた。
そして、その違いに思い至った。
自尊心とは、みえないものだ。己の中で育てるもの。
例え周りのもの凡てが敵(あるいは無関心)であっても、これさえ有れば生きていける。そんな精神の命綱。
対して、プライドとは、表われるものだ。
「プライドの高い人間」とは、概して「プライドが高そうに見える人間」のことだ。
世を生きる上で、これが意外と邪魔になる。
後輩の前で、家族の前で、弱みは見せられない。自立した大人である事を示さなければならない。
これらの気持ちは、自尊心とは全く別のところにある。
...というよりも、自尊心とプライドはある意味で、完全に対極のところにあるのかも知れない。
自尊心は人を生かすが、プライドは人間を壊す。
自殺の問題がある。
世間に打ちのめされた死ではなくて、社会の成功者と言われる人たちの、どうして?という感想を抱かせる死。
彼らを死なせたのは結局のところ、プライドなんじゃなかろうか。
己のプライドを器用に失わせながら、自尊心に満ちることが出来たなら、彼らは生き抜けたんじゃなかろうか。
不条理な世の中でも。それは本当にすごく難しいことなのだけれど。
世間から疎まれる事を一切厭わず、泥水を啜って、這い蹲って生きて行く。
プライドを失いながら、自尊心で満たされた人間。
それが1番強いのだと思った。