尾燈去ル

生きるための記録。

世の中でいちばんひどい行為

ひどい行為について。

 

世の中で1番ひどい行為は、人の時間を奪うことだと思う。

人に殴られて病院に行くならば、殴った人間は、瞬間の痛み以上に、被害者の時間を奪ったことになる。

さらに後遺症で躰が不自由にでもなったのなら、その不自由さ以上に、労作の時間までも奪っている。

 

言葉もまた然り。

傷つく言葉を吐く人間は、相手の心に不快な感情を残す。

多くの場合、そんな言葉を吐く人間というのは、吐いた言葉をすぐ忘れてしまうけれど、吐かれた側の人間は、数日、時には数年経っても、記憶をリフレインする。不快で、そして無駄な時間である。

イジメという行為が悪辣なのも、本質的にこの点だとおもう。

 

優しさすら、また人の時間を奪う。

一方通行の優しさ、つまりお節介は、程度とお互いの関係を弁えていなければ、相手にとっては「借り」となる。その「借り」を返すまでの間、相手の方は「借り」を返す為に気を揉み、無駄な時間を割く。

偽りの優しさ、つまり巧みな配慮も、やりくり次第では相手の時間を奪ってしまう。提案したプランを、偽りの優しさで以て肯定された相手は、本来否定されるべきであったプランの推進の為に、無駄な時間を費やされる。

 

僕は最近この優しさの持つ鋭利さに、人間の哀しみの根源があるような気がしている。

どうか、この駄文に漂着した人の時間を、僕が奪っておりませんように。

 

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